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水を待つ大地——アンゴラ南部の干ばつと、暮らしを支える水の行方

Monochrome illustration of a person walking across a dry plain in southern Angola, with cattle and a small water point beneath the Japanese words “Waiting for rain alone cannot protect livelihoods.”
アンゴラ南部の干ばつ|雨を待つだけでは、暮らしは守れない

アンゴラ南部では、水を得るために歩く時間が、暮らしの一部になっている。家で使う水だけではない。畑を育て、家畜に飲ませ、学校や診療所を動かす水も必要だ。雨が少ない時期が続けば、同じ水源を頼りにする人々の生活が、いくつもの場所で同時に難しくなる。

クネネ州、ウイラ州、ナミベ州などでは、近年、干ばつが繰り返し人々の暮らしに影響してきた。2023年から2024年にかけては、エルニーニョ現象に伴う雨不足が農作物の損失を広げた。ユニセフの2024年末の報告では、アンゴラで約120万人が水不足に直面していると推計されている。これは当時の状況を示す数字であり、現在の人口を表すものではない。worldbank.org

干ばつを「雨が降らない」という現象だけで捉えると、見落とすものがある。アンゴラ南部で問われているのは、限られた水をどこから得て、どう届け、次の雨不足にどう備えるかという、暮らしの仕組みそのものだ。

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水源までの距離が、日常を変える

クネネ州とウイラ州では、水源が遠く、家族が一日に何度も水をくみに行かなければならない地域がある。近くの水源が使えなければ、遠くの、必ずしも安全とはいえない水に頼ることにもなる。ユニセフは、水不足が家庭生活だけでなく、健康、教育、食料の確保にも影響すると報告している。UNICEF Angola

水を運ぶ時間は、別のことに使えたはずの時間でもある。学校で学ぶ時間、畑を手入れする時間、休む時間。学校に水がなければ、トイレや手洗いの維持も難しくなる。診療所では衛生管理に支障が出る。水不足は、一つの用途だけにとどまらない。

使えなくなった井戸を直すことは、暮らしを大きく変えうる。ユニセフは2025年、学校や診療所、地域で利用する井戸24カ所を修復し、6万8,000人以上が直接その恩恵を受けたと報告した。近くで水が得られれば、水くみの負担が減り、衛生や家庭菜園にも水を回しやすくなる。ただし、井戸を掘ったり直したりした後も、水源と設備を維持できるかが大切になる。UNICEF Angola

干ばつは、地下にも続く

地表に川の水が見えなくても、地下には水がある。そのため井戸は、干ばつの地域にとって重要な水源だ。しかし地下水も、雨によって補われる。

ウイラ州の都市ルバンゴについて、世界銀行は、雨の少ない年が続いた後に地下水資源が減り、井戸の水位も低下したと報告している。降雨が減ると、地中に浸透して地下水を補う水も少なくなる。井戸を増やすだけでは、干ばつの影響から自由にはなれない。worldbank.org

都市では、人口の増加も水の需要を押し上げる。世界銀行の2023年の現地報告によると、当時のルバンゴと周辺地域では、家庭内に水道の接続がある人は約23%だった。水源から水をくみ上げる能力だけでなく、配水管を通じて各家庭に届ける仕組みも課題となっていた。設備からの漏水などを減らし、複数の水源を組み合わせることも、利用できる水を増やす方法として挙げられている。worldbank.org

南部には都市も農村もあり、水への距離や使い方は同じではない。一つの大きな施設だけで地域全体を説明することはできない。どこで水が得られ、どこで失われ、誰のもとに届いていないのか。水不足を考えるには、その経路をたどる必要がある。

人の水、畑の水、家畜の水

農業や牧畜にとって、雨不足は収穫や家畜の状態に直結する。水が足りず作物が育たなければ、家庭の食料も現金収入も減る。家畜のための水や飼料が不足すれば、長く育ててきた動物を失ったり、生活を支える資産を売ったりすることにもつながる。

世界銀行は、アンゴラ南部で繰り返される干ばつが食料不足や栄養不良を深刻にし、家計を圧迫していると報告する。干ばつの影響は雨が戻った日に終わらない。失った家畜や収穫、取り崩した蓄えを取り戻すには時間がかかるからだ。worldbank.org

水を安定して得ることは、食料を安定して得ることにもつながる。世界食糧計画(WFP)は2025年、日本の支援を受け、ウイラ州とクネネ州の干ばつの影響を受けた地域で、太陽光を利用した給水設備や小規模灌漑などを進める計画を発表した。飲み水を確保することと、農業を続けられるようにすることを、同じ課題として扱っている。World Food Programme

次の雨不足に、何を残せるか

干ばつへの対応には、今必要な水を届ける仕事と、次の干ばつで困りにくくする仕事がある。壊れた井戸を修復する。貯水槽や小規模な貯水施設を整える。配水の損失を減らす。農地では、限られた水を効率よく使える方法を広げる。それぞれが別の時間軸で、人々の生活を支える。

世界銀行が支援するアンゴラの水資源事業には、地方の給水設備の修繕に加え、貯水槽、小規模貯水施設、井戸、流域の土壌と水を守る取り組みが含まれている。水をくみ上げる設備に加えて、水を蓄え、地面に浸透させ、地域で管理することが重要だと分かる。worldbank.org

ただし、設備が完成すれば干ばつが解決するわけではない。修理を担う人、運用に必要な費用、水位や水質を確かめる仕組みがあってこそ、次の乾期にも使える水源になる。誰が、どの水を、どの季節に使うのか。水を分ける判断も、施設を造る判断と同じくらい大切だ。

アンゴラ南部の干ばつは、空を見上げるだけでは読み解けない。地中の水、壊れた井戸、都市の配水管、畑と家畜、人が水源まで歩く道。そのすべてに、水不足の姿が表れる。

雨を降らせることはできなくても、降った雨をどう受け止め、限られた水をどう届けるかは変えられる。干ばつに備えるとは、次に雨が少なくなる前から、人々の暮らしのそばに水を残すことだ。

参照資料

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