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雪が少なくなる山で、何を守るか——アンドラのスキー観光と水資源

WordPressの各欄には、以下を入力してください。 代替テキスト(英語) Watercolor illustration of snow-covered mountains and a river winding through a valley in Andorra, overlaid with Japanese text: “As snow changes, so does the future of the mountains.”
アンドラの雪と水資源|雪が変われば、山の未来も変わる

冬、山を白く覆う雪は、アンドラの風景をつくる。フランスとスペインの間、ピレネー山脈に位置するこの国では、雪を楽しむ観光が地域の仕事を支えてきた。

雪はまた、春に解けて川へ流れ、山の水循環の一部となる。雪の降り方や積もる期間が変われば、影響はスキー場の斜面だけにとどまらない。観光に使う水、暮らしの水、農業や発電に使う水まで、同じ山の中でつながっている。

ピレネー気候変動観測所によると、山脈全体の年平均気温は1959年以降に約1.9度上昇した。同観測所は、標高1,800メートルの積雪が2050年までに減少するとの見通しも示している。これはピレネー山脈全体についての指標・予測であり、アンドラのすべてのスキー場で同じ割合の雪が失われるという意味ではない。PYRADAPT

雪が変わるとき、山の国は何を変えられるのだろう。

Contents

雪の量だけでは、冬は決まらない

スキー場にとって大切なのは、一冬の降雪量だけではない。いつ雪が降り、どの標高に、どれほど長く残るか。休日に滑れるか。雨が降った後、斜面を維持できるか。雪の「量」が同じでも、季節の中での分布が変われば、観光の条件は変わる。

アンドラの研究機関が参加したNIVOPYRプロジェクトは、ピレネー地域の49の主要なアルペンスキー場を対象に、気温、降水、積雪、利用者の行動を組み合わせて脆弱性を調べた。その結果、気候変動への弱さはスキー場ごとに異なり、それぞれに合う適応策が必要だと整理している。Andorra Research + Innovation

標高や斜面の向き、経営条件が違えば、同じ暖冬でも受ける影響は違う。「アンドラから雪が消える」と一括りにはできない。一方で、これまで通り雪が降ることを前提に、すべての場所で同じ事業を続けられるとも限らない。

人工雪は、何を使ってつくるのか

自然の雪が足りないとき、スキー場は人工雪で斜面を整える。雪づくりは、冬の営業を支える重要な技術だ。ただし、雪をつくるには水とエネルギーが要り、気温などの条件も必要になる。

アンドラでは、グランドバリラとヴァルノルドのスキー場で、積雪の厚さを細かく測る実証試験が行われた。圧雪車に取り付けた測位機器やドローンによる測量を使い、どこにどれだけ雪があるかを把握する。必要な場所に適切な量の雪を配分し、水とエネルギーの使用を抑えるための試みだ。OPCC Pyradapt

ここには、技術で冬を支える可能性と限界の両方がある。雪を効率よく管理すれば、不要な造成を減らせる。しかし、人工雪への依存が増えれば、水資源や電力への負担も増えうる。研究プロジェクトは、投資しても将来の営業が難しくなるスキー場があり得るため、場所ごとの検討が必要だとしている。OPCC Pyradapt

人工雪を「自然の雪の代わり」とだけ考えると、使った水がどこから来るのかが見えなくなる。山の水は、観光だけのものではない。

春に解ける雪は、川の時間をつくる

山の積雪は、冬の間、水を一時的に蓄える。気温が上がると雪解け水が川へ流れ出す。そのため、積雪や雪解けの時期が変われば、川の流量が季節の中でどう変化するかも重要になる。

アンドラの研究機関が参加したPIRAGUAプロジェクトは、ピレネー山脈の水循環と、気候変動下の水資源を調べている。アンドラの事例では、家庭、観光、人工雪、農業、エネルギーに使う水を同じモデルで扱い、将来、用途の間にどのような緊張が生じ得るかを検討している。これは将来の競合を評価する研究であり、現在すでに全国で深刻な水の奪い合いが起きているという意味ではない。Andorra Research + Innovation

水の問題は国境でも区切れない。ピレネー山脈を源とする水は、地表でも地下でも、フランスやスペインを含む広い流域と関係する。PIRAGUAは、行政の境界と水が流れる境界が一致しないことを、水管理の課題として挙げている。アンドラの雪と水を考えるには、山脈全体を見る視点が要る。Andorra Research + Innovation

「冬の山」だけに頼らない選択

雪への依存を減らすことは、冬の観光を諦めることと同じではない。条件の整う場所では、積雪を測り、雪づくりを効率化して冬の活動を続ける。その一方で、雪に頼りにくい場所では、季節を通じた山の楽しみ方や地域の仕事を育てる。NIVOPYRプロジェクトは、脆弱性に応じてこうした異なる方向を提案している。Andorra Research + Innovation

夏の観光を増やす場合にも、山への負担を考える必要がある。訪れる人が増えれば、水の使用、交通、登山道や高山の生態系への影響も変わるからだ。アンドラの研究機関は、スキー場の適応とともに、水資源や山の植生の変化を調べている。観光の季節を広げるなら、その季節の自然をどう守るかまで計画に入れたい。Andorra Research + Innovation

アンドラ政府も、観光などの分野について、気候変動の影響と適応を評価する取り組みを進めている。大切なのは、雪の少ない年だけを見て判断することでも、一年の大雪で将来への懸念を忘れることでもない。長い期間の変化を測り、場所ごとに選択を重ねることだ。Govern d’Andorra

雪は、スキー場にとっての資源である前に、山の季節そのものだ。冬に積もり、春に解け、川へ流れる。その巡りが変わり始めたとき、問われるのは「どう雪を残すか」だけではない。

雪の条件が変わる山で、水を分け合いながら、どんな暮らしと観光を続けていくのか。 アンドラの未来は、その問いを考えるところから形づくられる。

参照資料

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