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何を伝えるかを、一文にする。コンテンツの「中心メッセージ」のつくり方

壁一面のメモや写真を見つめ、伝えたい中心メッセージを一文に絞るクリエイター
壁一面のメモや写真を見つめ、伝えたい中心メッセージを一文に絞るクリエイター

誰に届けるのか。
見た人に、どのような変化を起こしたいのか。

この二つが決まったら、次に考えるのは「何を伝えるか」です。

商品やサービスの魅力。
つくり手の思い。
役立つ知識。
社会的な背景。
自分の経験。

伝えたいことは、たくさんあるかもしれません。

しかし、すべてを一度に伝えようとすると、情報は増えても、肝心のメッセージが見えにくくなります。

読み終わったあと、内容を思い出せない。
動画を見たけれど、結局何が言いたかったのか分からない。
説明は丁寧なのに、心に残るものがない。

こうしたコンテンツには、全体を支える「中心メッセージ」が不足しています。

伝わるコンテンツには、最初から最後まで揺れない一文があります。

今回は、伝えたいことを一つに絞り、コンテンツの中心メッセージをつくる方法を解説します。

Contents

情報が多いほど、伝わるとは限らない

コンテンツをつくるとき、情報を削ることに不安を感じる場合があります。

「これも説明したほうがよいのではないか」
「この特徴も入れないと、魅力が伝わらない」
「せっかく調べた情報だから使いたい」

そう考えて情報を追加していくうちに、コンテンツの焦点がぼやけていきます。

たとえば、地域の伝統産業を紹介する記事に、次の内容をすべて盛り込んだとします。

  • 産業の歴史
  • 職人の技術
  • 原材料の特徴
  • 地域の地理
  • 後継者不足
  • 海外展開
  • 観光との関係
  • 商品の購入方法

どれも重要な情報です。

しかし、読者に最も伝えたいことが決まっていなければ、情報が並んでいるだけの記事になります。

この記事を通して、

「職人の技術を知ってほしい」のか。
「産業が置かれている危機に気づいてほしい」のか。
「商品を実際に手に取ってほしい」のか。

中心メッセージによって、選ぶべき情報と構成は変わります。

必要なのは、情報を増やすことではありません。

一つのメッセージを届けるために、必要な情報を選ぶことです。

「テーマ」と「中心メッセージ」は違う

テーマと中心メッセージは、似ているようで異なります。

テーマは、何について扱うのかを示すものです。

たとえば、

「海洋プラスチック問題」
「地域の伝統産業」
「コンテンツマーケティング」
「地方移住」

などがテーマです。

一方、中心メッセージは、そのテーマについて「何を伝えたいのか」を表します。

海洋プラスチック問題がテーマなら、中心メッセージは次のように考えられます。

海に流れ着くプラスチックは、海岸だけではなく、私たちの暮らしの中から生まれている。

地域の伝統産業がテーマなら、

伝統を残すには、技術を守るだけでなく、現代の暮らしとの新しい接点をつくる必要がある。

コンテンツマーケティングがテーマなら、

多くの人に届けたいときほど、最初に「たった一人」を具体的に考えることが大切だ。

テーマだけでは、話の方向は決まりません。

同じテーマでも、つくり手の視点や目的によって、中心メッセージは変わります。

「何について話すか」だけで終わらず、「そのテーマを通して何を伝えるか」まで言葉にすることが重要です。

「一番伝えたいこと」を一文にする

中心メッセージをつくるときは、まず次の質問に答えてみましょう。

このコンテンツから一つしか覚えてもらえないとしたら、何を持ち帰ってほしいか。

一つしか選べないと考えることで、伝えたいことの優先順位が見えてきます。

たとえば、「SNS発信」についての記事をつくる場合を考えてみます。

伝えたい内容として、次のようなものが浮かぶかもしれません。

  • 毎日投稿することが大切
  • 投稿時間も意識したほうがよい
  • 写真や動画の品質が重要
  • ターゲットを明確にする
  • 数字だけに振り回されない
  • 継続できる仕組みをつくる

ここから、読者に最も必要なことを一つ選びます。

初心者が「毎日投稿できない」と悩んでいるのであれば、中心メッセージは、

SNSは毎日投稿することよりも、無理なく続けられる仕組みをつくることが大切だ。

と表現できます。

この一文が決まれば、記事に必要な情報も見えてきます。

投稿頻度の考え方。
継続できない理由。
テーマの決め方。
投稿をまとめて準備する方法。

反対に、細かなアルゴリズムの説明や高度な撮影技術は、今回の記事では外せるかもしれません。

中心メッセージは、情報を選ぶための判断基準になります。

事実ではなく「意味」まで伝える

中心メッセージは、単なる事実の説明ではありません。

たとえば、

日本では耕作放棄地が増えている。

これは重要な事実ですが、中心メッセージとしては、まだ十分ではありません。

その事実を通して、読者に何を考えてほしいのでしょうか。

耕作放棄地の増加は、農業だけの問題ではなく、地域の景観や生態系、暮らしの維持にも関わっている。

ここまで言葉にすると、記事の視点が明確になります。

同じように、

動画は映像と音声で構成される。

という説明よりも、

動画の価値は、情報を見せることだけではなく、現場の空気や人の感情まで伝えられることにある。

と表現したほうが、つくり手の考えが伝わります。

事実を並べるだけでは、情報の紹介で終わります。

その事実をどう捉え、どのような意味を見いだすのか。

そこに、コンテンツ独自の中心メッセージが生まれます。

読者が持ち帰れる言葉にする

中心メッセージは、読者が理解し、覚えられる言葉にすることが大切です。

専門用語や抽象的な言葉が多いと、内容は正しくても心に残りません。

たとえば、

ターゲットユーザーに対するコミュニケーションの最適化が必要です。

という表現は、少し抽象的です。

これを、

届けたい相手が変われば、使う言葉も、選ぶ写真も変わる。

と表現すれば、具体的にイメージできます。

また、

コンテンツの目的に応じて情報を取捨選択する必要があります。

という説明も、

何を加えるかより、何を伝えないかを決める。

と短くすると、印象に残りやすくなります。

難しいことを難しいまま伝えるのではなく、読者の日常の言葉へ置き換える。

それも、コンテンツ制作に必要な編集の力です。

中心メッセージを具体化する3つの要素

中心メッセージが抽象的になってしまう場合は、次の3つを整理してみましょう。

1.誰に向けたメッセージか

同じテーマでも、相手によって伝える内容は変わります。

動画制作について伝える場合でも、

  • 初めて動画をつくる人
  • 企業の広報担当者
  • 映像クリエイター
  • 地域の情報発信を担当する人

では、必要な情報が異なります。

まず、誰のための一文なのかを明確にします。

2.どのような課題や思いに応えるか

相手は今、何に困っているのでしょうか。

「何を発信すればよいか分からない」
「つくっても見てもらえない」
「情報が多すぎて整理できない」
「自分の考えを言葉にできない」

相手の悩みが具体的になるほど、中心メッセージも明確になります。

3.どのような視点を持ち帰ってほしいか

コンテンツを見たあと、相手の考え方がどう変わればよいのでしょうか。

たとえば、

発信する内容が決まらない人に、テーマを増やすのではなく、届けたい相手から考えると内容が見えてくると伝える。

ここから中心メッセージをつくると、

何を発信するかに迷ったら、まず「誰のために発信するか」に戻ろう。

という一文になります。

「誰に」「どのような悩みに」「どのような視点を届けるか」。

この3つを意識すると、メッセージが具体的になります。

一文メッセージをつくる基本の型

中心メッセージを考えやすくするために、いくつかの型を使うことができます。

型1|〇〇ではなく、△△が大切だ

コンテンツ制作は、情報を増やすことではなく、伝えるべきことを選ぶことが大切だ。

一般的な思い込みを変えたいときに使いやすい型です。

型2|〇〇するためには、まず△△を決める

多くの人にコンテンツを届けるためには、まず一人の相手を明確にする。

行動の順番を示すときに適しています。

型3|〇〇が変われば、△△も変わる

届けたい相手が変われば、タイトルも、言葉も、写真も変わる。

原因と変化の関係を分かりやすく伝えられます。

型4|〇〇の本当の価値は、△△にある

動画の本当の価値は、情報だけでなく、人の感情や現場の空気まで伝えられることにある。

独自の視点や価値を提示するときに有効です。

型5|〇〇は、△△から始まる

伝わるコンテンツは、相手の顔を思い浮かべることから始まる。

短く、印象に残るメッセージをつくりやすい型です。

型は、正解を出すためのものではありません。

頭の中にある考えを、読み手に伝わる形へ整理するために使います。

中心メッセージから構成をつくる

中心メッセージが決まったら、記事や動画の構成を考えます。

たとえば、中心メッセージが、

多くの人に届けたいときほど、最初に一人の相手を明確にすることが大切だ。

であれば、構成は次のように考えられます。

導入

多くの人に向けて発信すると、言葉が曖昧になるという問題を提示する。

理由

相手が見えないと、悩みや必要な情報を具体的に選べないことを説明する。

具体例

「働く人へ」と「転職に迷う30代の会社員へ」では、タイトルや言葉がどう変わるかを示す。

方法

届けたい一人を明確にするための質問を紹介する。

まとめ

広く届けるために、まず一人を深く考えるという中心メッセージに戻る。

各項目が、中心メッセージを理解してもらうための役割を持っています。

構成を考えるとは、情報を順番に並べることではありません。

中心メッセージを、相手が納得できる順序で届けることです。

タイトルも導入文も、一文からつくる

中心メッセージは、タイトルや導入文を考えるときにも役立ちます。

たとえば、

情報を増やすより、伝えることを一つに絞ったほうが、コンテンツは伝わりやすくなる。

という中心メッセージがあれば、タイトルは次のように展開できます。

  • 情報を増やすほど、伝わらなくなる理由
  • 「結局、何が言いたいの?」をなくす方法
  • 伝えたいことを、一文にする
  • 伝わるコンテンツには、揺れない一文がある

導入文では、読者が感じている問題から始めます。

丁寧に説明したのに、反応がない。情報はたくさん入っているのに、何も印象に残らない。その原因は、内容の不足ではなく、伝えたいことが絞られていないからかもしれません。

中心メッセージが決まっていれば、タイトルと導入文が別々の方向へ進むことを防げます。

必要のない情報を削る判断基準

文章を書き始めると、予定していなかった情報が増えていきます。

そのときは、追加したい情報に対して、次の三つを確認します。

中心メッセージを理解するために必要か

その情報がなければ、読者が中心メッセージを理解できないのかを考えます。

読者の疑問や不安に答えているか

つくり手が話したいだけではなく、読者が知りたい情報になっているかを確認します。

読後に起こしたい変化につながっているか

情報を入れることで、読者の理解や共感、行動が前へ進むのかを考えます。

どれにも当てはまらなければ、今回のコンテンツには必要がない可能性があります。

削ることは、情報の価値を否定することではありません。

別の記事や動画で、改めて深く扱うこともできます。

一つのコンテンツにすべてを詰め込まず、テーマを分けてつなげていく。

それによって、一つひとつのメッセージが強くなります。

媒体が変わっても、軸は変えない

同じテーマを、記事、動画、SNSなど複数の媒体で発信する場合があります。

媒体によって表現方法は変わります。

記事では、理由や背景を詳しく説明できます。
動画では、人の表情や声、現場の空気を伝えられます。
SNSでは、短い言葉や印象的な場面で興味を引けます。

しかし、中心メッセージまで変える必要はありません。

たとえば、

海岸侵食は、海だけの問題ではなく、山・川・海のつながりの変化によって起きている。

というメッセージを伝える場合、

記事では、土砂の流れや護岸、ダムとの関係を解説する。
動画では、実際の海岸や地域の声を見せる。
SNSでは、「砂浜の砂は、どこから来るのか」という問いを投げかける。

表現は違っても、すべて同じ中心メッセージへつながっています。

媒体ごとに内容を変えるのではなく、同じ軸を、それぞれの特性に合わせて見せ方を変える。

これが、複数の媒体をつなぐコンテンツ設計です。

制作前に確認したい5つの質問

記事や動画、SNS投稿をつくる前に、次の質問を書き出してみましょう。

1.誰に届けるのか

どのような状況にいる、どのような人に向けたコンテンツでしょうか。

2.その人は、今どのようなことに悩んでいるのか

表面的な課題だけでなく、不安や迷いまで考えます。

3.見たあと、どのように変わってほしいのか

知る、理解する、共感する、行動するなど、起こしたい変化を決めます。

4.一つだけ覚えてもらうなら、何を伝えたいか

その答えを、一文で表します。

5.その一文に必要のない情報は何か

今回伝えないことも決めます。

この5つが整理されると、タイトル、構成、表現、CTAに一貫性が生まれます。

まとめ|伝わるコンテンツには、揺れない一文がある

コンテンツをつくるとき、伝えたいことが多いのは自然なことです。

知っていること。
経験してきたこと。
大切にしている思い。

しかし、それらをすべて詰め込めば、すべてが伝わるわけではありません。

一つのコンテンツで届ける中心メッセージを決める。

その一文を支えるために、必要な情報を選ぶ。

タイトルも、導入文も、構成も、最後のCTAも、その一文につなげていく。

中心メッセージは、表現を縛るものではありません。

制作中に迷ったとき、戻ることのできる軸です。

まずは、次につくる記事や動画、SNS投稿を一つ思い浮かべてください。

そして、次の問いに答えてみましょう。

このコンテンツから一つしか覚えてもらえないとしたら、何を持ち帰ってほしいか。

その答えを、一文にしてみてください。

伝わるコンテンツは、最後まで揺れない一文から始まります。


次回は、中心メッセージを読者が理解しやすい順番に並べる「コンテンツの構成」について解説します。

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