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コンテンツ制作は「誰に、何を届けるか」から始まる

ターゲット像を中心に、映像・記事・SNSへ届けるコンテンツ企画を設計するワークスペース
ターゲット像を中心に、映像・記事・SNSへ届けるコンテンツ企画を設計するワークスペース

動画をつくろう。
記事を書こう。
SNSを更新しよう。

コンテンツ制作を始めるとき、多くの人は最初に「何をつくるか」を考えます。

しかし、本当に最初に考えるべきなのは、制作物の形式ではありません。

「誰に、何を届けるのか」です。

この二つが曖昧なままでは、映像の完成度が高くても、文章が読みやすくても、思うような反応にはつながりません。

コンテンツは、つくること自体が目的ではありません。

必要としている人に価値を届け、理解や共感、行動を生み出すためのものです。

今回は、コンテンツ制作の出発点となる「誰に、何を届けるか」の考え方を解説します。

Contents

なぜ「何をつくるか」から考えてしまうのか

コンテンツ制作では、目に見える制作物から考え始めがちです。

「会社紹介の動画をつくりたい」
「Instagramを始めたい」
「商品を紹介する記事を書きたい」

こうした発想が間違っているわけではありません。

ただし、動画やSNS、記事は、あくまで情報を届けるための手段です。

誰に何を伝えたいのかが決まっていなければ、どの手段が適切なのかも判断できません。

たとえば、商品の魅力を伝えたい場合でも、相手によって必要な情報は変わります。

商品を知らない人には、まず存在に気づいてもらう必要があります。

すでに知っている人には、興味を深めてもらう情報が必要です。

他の商品と比較している人には、違いや選ぶ理由を伝えなければなりません。

購入を迷っている人には、価格や品質、使い方に対する不安を解消する情報が求められます。

同じ商品でも、相手の状態によって伝えるべき内容は異なるのです。

ターゲットは年齢や性別だけでは決まらない

「誰に届けるか」と聞かれると、次のような人物像を考えることがあります。

  • 30代女性
  • 神奈川県在住
  • 会社員
  • 子どもがいる
  • SNSをよく利用する

こうした情報は、相手を理解する一つの手がかりになります。

しかし、年齢や性別、職業だけでは、その人が何を求めているのかまでは分かりません。

大切なのは、その人が「どのような状況にいるのか」を考えることです。

たとえば、同じ30代の会社員でも、置かれている状況は異なります。

仕事に慣れ、次のキャリアを考えている人もいます。

新しい仕事を任され、知識不足に悩んでいる人もいます。

子育てと仕事の両立に時間的な負担を感じている人もいます。

独立や副業に関心を持ち、情報を集め始めた人もいるでしょう。

人は属性だけで行動するのではありません。

そのとき抱えている課題や不安、期待によって、必要とする情報や選択する商品が変わります。

ターゲットを考えるとは、単に人物のプロフィールを設定することではありません。

その人が今、どこにいて、何に困り、どこへ向かおうとしているのかを想像することです。

相手が置かれている状況を観察する

相手を理解するためには、想像だけでなく、観察することが重要です。

実際の顧客や視聴者、読者から寄せられる質問には、多くのヒントがあります。

  • どこで迷っているのか
  • 何を不安に感じているのか
  • どのような言葉を使っているのか
  • 購入や問い合わせの前に何を調べているのか
  • なぜ行動しなかったのか

アンケートやアクセス解析も役立ちますが、日常の会話や問い合わせ、営業現場で聞いた言葉も大切な情報です。

つくる側が使う言葉と、受け取る側が使う言葉は、必ずしも同じではありません。

企業は商品の「高性能」や「独自技術」を伝えたいかもしれません。

しかし、利用者が知りたいのは、「自分の悩みを解決できるのか」「簡単に使えるのか」「失敗しないか」といったことかもしれません。

相手が実際に使っている言葉を知ることで、コンテンツは一方的な説明から、相手の疑問に応えるものへと変わります。

商品の特徴と、相手にとっての価値は違う

「何を届けるか」を考えるとき、商品の特徴を並べるだけでは十分ではありません。

特徴とは、商品やサービスが持っている事実です。

価値とは、その特徴によって相手の生活や仕事がどう変わるかです。

たとえば、カメラの「高性能な手ぶれ補正」は特徴です。

その機能によって、専門的な撮影技術がなくても見やすい映像を撮れることが、利用者にとっての価値になります。

オンライン講座の「好きな時間に視聴できる」は特徴です。

仕事や子育ての合間にも自分のペースで学べることが、受講者にとっての価値です。

地域の観光地についても同じです。

美しい景観や歴史的な建築物があることは、その土地の特徴です。

そこを訪れることで、日常から離れて心を整えられることや、その土地ならではの文化に触れられることが、訪れる人にとっての価値になります。

特徴を価値へ変換するときは、次のように問いかけてみます。

この特徴によって、相手の何が変わるのか。

この問いによって、伝える内容が、つくる側の説明から、受け取る側の意味へと変わります。

「誰に・何を・なぜ届けるか」を一文にする

コンテンツ制作を始める前に、企画の目的を一文にまとめてみましょう。

基本となる形はこちらです。

私たちは、【どのような状況にいる人】に、【どのような価値】を届け、【どのような変化や行動】につなげる。

たとえば、コンテンツ制作を学ぶメディアなら、次のように整理できます。

コンテンツを発信しても成果につながらず悩んでいる人に、制作とマーケティングをつなぐ実践的な知識を届け、自分で伝わる仕組みを設計できるようになってもらう。

地域を紹介する映像なら、次のように考えられます。

有名な観光地を巡るだけでは得られない体験を求める人に、地域で暮らす人や文化の背景を伝え、その土地を実際に訪れるきっかけをつくる。

商品紹介の記事なら、次のようになります。

商品選びに迷っている人に、機能だけでは分からない使用感や選び方を伝え、納得して判断できるようにする。

この一文が定まると、必要な情報と不要な情報を判断しやすくなります。

表現が迷ったときにも、企画の出発点へ戻ることができます。

相手の状態によってコンテンツを使い分ける

「誰に、何を届けるか」が決まったら、次に表現方法を考えます。

動画、記事、SNSには、それぞれ得意な役割があります。

SNS:出会うきっかけをつくる

SNSは、まだ商品やサービスを知らない人との接点をつくることに向いています。

短い言葉や画像、短尺動画を通じて、興味を持つきっかけを生み出します。

最初からすべてを説明するのではなく、「少し詳しく知りたい」と思ってもらう役割です。

記事:背景と理由を伝える

記事は、情報を整理し、理解を深めてもらうことに向いています。

商品の違いや選び方、地域の歴史、課題が起きた背景などを、順序立てて説明できます。

検索を通じて、悩みや疑問を持つ人と出会えることも、記事の大きな特徴です。

映像:空気感と感情を届ける

映像は、人の表情や声、場所の空気、時間の流れを伝えることが得意です。

文章だけでは説明しにくい魅力や信頼感、臨場感を届けられます。

実際に体験しているような感覚を生み、共感や期待を高める役割を持ちます。

重要なのは、どれか一つを選ぶことではありません。

SNSで知ってもらい、記事で理解を深め、映像で共感を生み、問い合わせや購入へつなげる。

相手の状態に合わせてコンテンツを組み合わせることで、発信は一つの流れになります。

すべての人に届けようとしない

発信するとき、多くの人に見てもらいたいと考えるのは自然なことです。

しかし、「誰にでも当てはまる内容」を目指すほど、メッセージは曖昧になります。

悩みや状況が異なるすべての人に、一つのコンテンツで応えることはできません。

大切なのは、届ける相手を狭くすることではなく、届ける場面を具体的にすることです。

「映像制作に関心がある人」では、まだ広すぎます。

「自社の魅力を動画で伝えたいが、何から企画すればよいか分からない担当者」と考えると、必要な情報が見えてきます。

伝える相手が具体的になるほど、言葉は深く届くようになります。

その結果、同じような悩みを持つ周辺の人にも共感されるコンテンツになります。

実践ワーク:「誰に、何を届けるか」を書いてみる

ここまでの内容を、自分の発信や仕事に置き換えてみましょう。

次の五つを書き出してみてください。

1.相手は、今どのような状況にいるか

年齢や職業だけでなく、今置かれている状況を考えます。

2.相手は、何に困っているか

表面的な要望だけではなく、その奥にある不安や迷いを考えます。

3.相手は、どうなりたいか

問題を解決した先に、どのような変化を望んでいるのかを考えます。

4.自分は、どのような価値を提供できるか

商品やサービスの特徴ではなく、それによって生まれる変化を書きます。

5.どのコンテンツで届けるか

SNS、記事、映像などから、相手の状態と目的に合った手段を選びます。

最後に、次の一文を完成させます。

私は、【どのような状況にいる人】に、【どのような価値】を、【どのようなコンテンツ】で届け、【どのような変化】につなげる。

最初から完璧に書く必要はありません。

発信し、反応を観察しながら、少しずつ修正していくことが大切です。

コンテンツ制作は、相手を理解することから始まる

良いコンテンツは、表現技術だけでは生まれません。

その向こうにいる人を理解しようとすることから始まります。

誰に届けるのか。
その人は何に困っているのか。
どのような価値を必要としているのか。
見たあとに、どう変わってほしいのか。

これらを考えることで、動画、記事、SNSの役割が明確になります。

「何をつくるか」は、そのあとです。

つくり手が伝えたいことと、相手が知りたいこと。その二つが重なる場所を見つける。

そこが、伝わるコンテンツの出発点です。

次回は、よく混同される「ターゲット」と「ペルソナ」の違いを整理し、届ける相手を具体的に描く方法を考えていきます。

コンテンツ制作、マーケティング、企画、ブランディングなど、現場で培った「伝わるコンテンツ」のヒントをメールでお届けします。

つくる力を、届く力へ。

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