前回の記事では、NEOTERRAIN Journalのアクセスデータをもとに、Organic Search(自然検索)からの流入が、前期間の27セッションから87セッションへ約3.2倍に伸びていることを紹介しました。
SNSのフォロワーや既存のつながりとは異なり、検索から訪れる人の多くは、サイトや運営者のことをまだ知りません。
何かを知りたい。
疑問を解決したい。
仕事や暮らしに必要な情報を探したい。
そうした目的を持って検索し、その答えがありそうな記事を見つけて訪れます。
自然検索からのアクセスが増えたことは、コンテンツが既存の人間関係を越え、まだ出会ったことのない人に届き始めた証拠です。
しかし、重要なのは「検索流入が増えた」という結果だけではありません。
次に見るべきなのは、
読者が、どのような言葉で検索してサイトにたどり着いたのか
という点です。
検索キーワードには、読者の関心、疑問、課題、迷いが表れています。
つまり検索キーワードは、単なるSEOデータではありません。
読者から無言で届く、次のコンテンツの企画書なのです。
アクセス数だけでは、読者の目的は見えない
Google Analyticsでは、どの記事が読まれたのか、どこから訪れたのか、どれくらい滞在したのかなどを確認できます。
一方で、それだけでは読者が「何を知りたくて検索したのか」までは十分に見えてきません。
同じ記事を読んでいる人でも、検索した目的は異なる可能性があります。
たとえば、地域産業について書いた記事に対しても、
- 地域の歴史を知りたい人
- 企業進出の背景を調べている人
- まちづくりの事例を探している人
- 学校のレポートに使う情報を探している人
- 新しい事業のヒントを探している人
では、求めている答えが違います。
記事の閲覧数だけを見ていると、これらはすべて同じ「1アクセス」として扱われます。
しかし、検索キーワードを確認すると、そのアクセスの背景にある目的が少しずつ見えてきます。
数字を見るだけではなく、数字が生まれた理由を読むことが、コンテンツ分析の次の段階です。
検索キーワードは、読者が入力した「問い」である
検索する人は、必ずしも整った文章を入力するわけではありません。
「地域産業 歴史」
「ダム なぜ必要」
「海岸侵食 原因」
「地方創生 成功例」
このような短い言葉の組み合わせで検索することもあります。
一見すると単なる単語ですが、その背後には問いがあります。
「なぜ、この地域に産業が集まったのか」
「ダムは本当に必要なのか」
「海岸の砂は、なぜ減っているのか」
「地方創生は、どのような条件で成功するのか」
検索キーワードを読むときは、入力された言葉をそのまま受け取るだけでは不十分です。
その言葉の奥にある、
この人は、何を理解したいのだろう
という問いを考える必要があります。
ここに、検索データを企画へ変えるための重要な視点があります。
Google Search Consoleで確認する4つの数字
検索キーワードを調べるときに使うのが、Google Search Consoleです。
Search Consoleの検索パフォーマンスでは、検索クエリやページごとに、主に次の4つの指標を確認できます。
1.クリック数
Googleの検索結果から、実際にサイトがクリックされた回数です。
クリック数が多いキーワードは、その検索テーマと記事の内容が一定程度結びついていると考えられます。
ただし、クリック数だけで記事の価値を判断することはできません。
検索結果に表示されていても、タイトルが十分に伝わらずクリックされていない可能性もあるからです。
2.表示回数
自分のサイトがGoogleの検索結果に表示された回数です。
クリックされていなくても、検索結果に表示されていればカウントされます。
表示回数が増えているキーワードは、そのテーマに対してGoogleが記事との関連性を認識し始めている可能性があります。
まだアクセスは少なくても、これから伸びる兆しが隠れていることがあります。
3.CTR
CTRは、検索結果に表示された回数のうち、どれくらいクリックされたかを示す割合です。
たとえば、100回表示されて5回クリックされた場合、CTRは5%です。
掲載順位が比較的高いのにCTRが低い場合は、
- タイトルが検索意図と合っていない
- 記事の内容がタイトルから伝わらない
- 競合記事と比べて魅力が弱い
- 読者が求めている答えが明確に示されていない
といった可能性があります。
4.平均掲載順位
検索結果の中で、サイトが平均してどの位置に表示されたかを示す数字です。
ただし、検索する場所、端末、時間、検索履歴などによって表示結果は変わります。
そのため、平均掲載順位を絶対的な評価として見るのではなく、一定期間の変化やほかの指標との組み合わせで考えることが大切です。
Googleの公式ヘルプでも、検索パフォーマンスではクリック数、表示回数、平均CTR、平均掲載順位を確認できると説明されています。(Google Search Console ヘルプ)
4つの数字は、組み合わせて読む
それぞれの数字を単独で見るのではなく、組み合わせることで改善の方向が見えてきます。
表示回数が多く、クリック数も多い
すでに検索ニーズと記事内容が合っている可能性が高い状態です。
このテーマでは、
- 関連記事を増やす
- より深い解説記事をつくる
- 初心者向けと実務者向けに分ける
- 動画やSNSにも展開する
といった方法が考えられます。
1本の記事で終わらせず、テーマを面として広げる段階です。
表示回数は多いが、クリック数が少ない
検索結果には出ているものの、選ばれていない状態です。
まず確認したいのは、記事タイトルです。
検索している人が知りたいことと、タイトルで伝えていることが一致しているでしょうか。
タイトルを見ただけで、
「この記事に答えがありそうだ」
と感じてもらえる必要があります。
ただし、刺激的な表現でクリックだけを集めるのではありません。記事の内容とタイトルを正しく一致させることが基本です。
掲載順位は低いが、表示回数が増えている
まだ上位には届いていなくても、可能性のあるテーマです。
記事の情報量が不足していないか、説明が分かりにくくないか、検索者が知りたい問いに十分答えているかを見直します。
既存記事を補足するだけでなく、検索キーワードに含まれる別の疑問を独立した記事にする方法もあります。
クリック数は少ないが、具体的な検索語で訪れている
検索回数は多くなくても、具体的な言葉で検索している人は、問題意識が明確な可能性があります。
こうした複数語による具体的な検索は、いわゆるロングテールキーワードと呼ばれます。
大きなアクセス数にはならなくても、専門性の高い読者や、仕事につながる可能性のある読者と出会えることがあります。
個人メディアや専門メディアにとっては、検索数の多さだけでなく、どれほど深い関心を持つ人に届いているかも重要です。
検索キーワードから、検索意図を考える
キーワードを見つけたら、次は検索意図を考えます。
検索意図とは、その人が検索を通じて実現したい目的です。
大きく整理すると、次のような意図があります。
知りたい
意味、原因、仕組み、歴史、背景などを理解したい検索です。
「海岸侵食 原因」
「自然由来 重金属とは」
「群馬県 産業 特徴」
こうした検索には、基礎から順序立てて説明する記事が向いています。
比較したい
複数の方法、地域、サービス、考え方を比べたい検索です。
「SNS SEO 違い」
「広告 自然検索 比較」
「動画 記事 どちら」
比較軸を明確にし、それぞれの長所と短所を整理すると役立ちます。
解決したい
具体的な問題や悩みを解決したい検索です。
「検索流入 増えない」
「記事 読まれない」
「Search Console 使い方」
原因だけでなく、実際に何をすればよいのかまで示す必要があります。
行動したい
サービスの利用、問い合わせ、購入、訪問など、次の行動を検討している検索です。
この段階の読者には、サービス内容、事例、料金、依頼方法、問い合わせ先などを分かりやすく伝える必要があります。
同じテーマでも、検索意図によって必要な記事は変わります。
だからこそ、キーワードをそのままタイトルに入れるだけではなく、読者が求めている答えを設計することが重要です。
検索データを次の記事企画に変える5つの手順
検索キーワードを企画へ変える方法は、決して複雑ではありません。
手順1.一定期間の検索クエリを確認する
Search Consoleで、直近28日間や3か月間など、一定期間の検索クエリを確認します。
短期間の変化だけで判断せず、前の期間とも比較します。
急に伸びた言葉、継続して表示されている言葉、予想外の言葉を探します。
手順2.似ているキーワードをまとめる
検索クエリを一つずつ見るのではなく、同じ関心を持つ言葉をグループにします。
たとえば、
- 海岸侵食
- 砂浜減少
- 海の砂が減る原因
- ダムと海岸侵食
- 河川の土砂不足
これらは、すべて「山・川・海を移動する土砂」という大きなテーマでつながっています。
複数のキーワードをまとめると、読者が本当に知りたいテーマの全体像が見えてきます。
手順3.既存記事で答えられているか確認する
検索されている言葉に対して、現在の記事が十分に答えているかを確認します。
タイトルには含まれているが本文ではほとんど触れていない。
専門用語の説明が足りない。
原因は書かれているが、対策が書かれていない。
このようなズレがあれば、記事を改善する余地があります。
手順4.リライトと新規記事を分ける
すべてを新しい記事にする必要はありません。
既存記事の主題と近ければ、説明や事例を追加してリライトします。
一方で、検索意図が異なる場合は、新しい記事として独立させます。
たとえば、
「ダムはなぜ必要なのか」
という記事に対して、
「ダムが海岸侵食に与える影響」
という検索ニーズが見つかった場合、同じ記事にすべて詰め込むよりも、別の記事として深掘りした方が読者にとって理解しやすくなります。
手順5.記事同士をつなぐ
新しい記事を書いたら、既存記事との内部リンクを設計します。
基礎記事から深掘り記事へ。
問題提起の記事から解決策の記事へ。
地域の記事から産業や自然環境の記事へ。
記事を孤立させず、読者が関心に沿って次の記事へ進める構造をつくります。
検索キーワードを起点にすると、偶然記事を増やすのではなく、読者の関心に沿ったコンテンツの地図を描けるようになります。
検索キーワードに迎合しすぎない
検索データは重要ですが、検索されている言葉だけを追い続ければよいわけではありません。
検索数の多いテーマばかりを選ぶと、ほかのメディアと似た内容になりやすくなります。
特に個人メディアや専門メディアには、その人にしか語れない経験、現場で得た視点、独自の問題意識があります。
検索キーワードは、読者の関心を知るための手がかりです。
その関心に対して、
- 自分はどのような経験を持っているのか
- どのような視点を加えられるのか
- ほかの記事にはない何を伝えられるのか
を考える必要があります。
検索されている言葉に答えながら、自分たちの視点を失わない。
その両方が重なったところに、検索され続ける独自のコンテンツが生まれます。
データは、過去を評価するためだけにあるのではない
アクセス解析というと、公開した記事の成績を確認する作業だと思われがちです。
何人が読んだのか。
どの記事が伸びたのか。
前の期間より増えたのか。
もちろん、それらも大切です。
しかし、データの本当の価値は、過去を評価することだけではありません。
データの中には、
「このテーマを、もっと詳しく知りたい」
「この疑問にも答えてほしい」
「ここがまだ分からない」
という、読者からの小さな反応が残されています。
検索キーワードを丁寧に読むことで、アクセス解析は報告作業から企画作業へ変わります。
検索キーワードは、まだ会ったことのない読者の声
SNSでは、コメントや「いいね」によって反応が見えます。
一方、検索から訪れる人の多くは、何も言わずに記事を読み、静かに離れていきます。
しかし、声がないわけではありません。
検索窓に入力された言葉そのものが、その人の問いです。
その問いを読み取り、記事で答え、さらに次の問いへつなげていく。
この繰り返しによって、コンテンツは一方的な発信ではなく、まだ会ったことのない読者との対話になります。
検索流入が増えたら、アクセス数だけを見て終わらせない。
その人は、何を知りたかったのか。
記事は、その問いに答えられていたのか。
次に、どのような情報を届けるべきなのか。
検索キーワードは、読者から届く企画書です。
その企画書を読み解く力が、コンテンツを継続的に育てていきます。
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