NEOTERRAINオリジナルTシャツ販売中!

観光は、消費ではなく「関係」になる-#29【徳島県篇】

徳島県祖谷の山あいに広がる集落の風景。霧に包まれた谷と暮らしの営みが静かに続く様子
徳島県祖谷の山あいに広がる集落と自然の風景

徳島県・祖谷が静かに試している、もうひとつの観光モデル

徳島県西部、深い山々に抱かれた祖谷。

有名な景勝地や独自の文化を持ちながら、この地には、どこか観光地らしくない空気が流れています。

バスが来て、写真を撮って、土産を買って帰る。
そんな「消費としての観光」だけでは、この土地の時間は、うまく動かない。

祖谷には、滞在しても、何も“買わずに帰る人”が少なくありません。

それでも、不思議と人はまた戻ってくる。
その理由は、観光地の設計思想そのものにありました。

徳島県祖谷の山あいで、地元の人々が静かに農作業を行う畑の風景
Contents

「泊まる」より、「関わる」ことから始まる滞在

祖谷で広がっているのは、体験を“提供する”観光ではありません。

  • 農作業を手伝う
  • 空き家の修繕に参加する
  • 囲炉裏を囲んで、ただ語り合う

それらはプログラム化されていないことも多く、マニュアルも、正解もありません。

あるのは、「ここにいる人として、時間を共有する」という感覚だけ。

観光客と住民、ホストとゲスト。
そうした境界線が、少しずつ曖昧になっていきます。

徳島県祖谷の古民家で、囲炉裏を囲んで人々が集う静かな時間

空き家は「宿泊施設」ではなく、関係の拠点になる

祖谷では、空き家が単なる宿に変わるだけではありません。

修繕の過程に人が関わり、滞在中に土地の記憶を聞き、帰ったあとも、連絡が続く。

空き家は、人が循環するための“関係インフラ”として機能しています。

結果として生まれるのは、一時的な消費額ではなく、
「また会いに行く理由」です。

徳島県祖谷の山間に残る、使われなくなった伝統家屋の室内風景

観光は“商品”ではなく、“関係資産”になる

祖谷の試みは、派手な成功事例ではありません。

急激に人口が増えるわけでも、観光収入が跳ね上がるわけでもない。

けれど

  • 顔と名前を知る人が増え
  • 季節ごとに戻ってくる人がいて
  • 外から来た人が、内側の課題を一緒に考える

そんな小さな関係の蓄積が、地域の時間を、確かに前へ進めています。

観光とは、「来てもらう仕組み」ではなく、
「戻ってきたくなる関係」を育てること

祖谷は、その仮説を、山あいで静かに検証し続けています。

徳島県祖谷で行われる、地元の人と訪問者の共同農作業の手元

Soraのフィールド・ノート

消費は、その場限りで終わる。
関係は、時間を連れて帰っていく。

観光が“商品”である限り、地域は選ばれ続けなければならない。

けれど、観光が“関係資産”になったとき、
地域は、思い出され、戻られる場所になる。

祖谷で起きているのは、そんな観光の再定義です。

Youtubeチャンネル「NEOTERRAIN」と連動企画です。動画もチェック!
高知県篇

NEOTERRAINの案内人が現場で取材する様子

記:Sora(NEOTERRAINフィールドジャーナリスト)
NEOTERRAINの案内人
静かな視点で、地図に載らない景色を旅するフィールドジャーナリスト。
北の大地の牧場から、南の市場のざわめきまで。
人と社会の営みの中にそっと寄り添い、記憶と問いかけを言葉に残します。
この視点が、あなたの旅の地図になりますように。

この記事が響いたら、シェアしていただけると嬉しいです。
  • URLをコピーしました!
Contents