地方経済は衰退している―そう語られて久しい。
人口減少、高齢化、若年層流出。
しかし岩手県を丁寧に見ていくと、そこには“別の選択”が見えてくる。
それは爆発的成長ではない。
だが、急激な崩壊でもない。
岩手は、静かに「耐久」を選んでいるのではないか。
Contents
ACT1|平泉に見る「理念経済」の原型
12世紀、平泉を治めた奥州藤原氏は、武力だけでなく浄土思想という世界観を都市設計に落とし込んだ。
金色堂は単なる豪華建築ではない。
それは「経済と理念の統合」の象徴である。
経済とは富の蓄積だけではない。
世界観の実装でもある。
現代で言えば、パーパス経営の原型とも言えるだろう。
岩手の経済思想は、ここから始まっている。

ACT2|三陸復興とリスク資本
2011年、東日本大震災。
三陸沿岸は壊滅的被害を受けた。
しかし復興は単なる「復旧」ではなかった。
- 防潮堤という巨大インフラ投資
- 漁業の法人化
- 6次産業化
それは、リスクを資本で制御する試みだった。
短期的補助金経済ではなく、構造転換への投資。
岩手はリスクを排除するのではなく、制御する選択をした。

ACT3|盛岡の文化資本とスモール経済圏
盛岡は大都市ではない。
しかし文化資本が厚い。
- 南部鉄器
- 文学土壌
- 個人店文化
大企業誘致ではなく、小さな経済の集合体。
効率性では測れない。
だが持続可能性という尺度では、極めて強い。

ACT4|岩手型資本主義の未来
岩手の経済構造は急成長型ではない。
しかし分散型であり、低ボラティリティであり、内部循環志向が強い。
それは「地方版ディフェンシブモデル」とも言える。
成長率よりも耐久性。
スピードよりも厚み。
成長し続けることが唯一の正解なのか。
それとも――静かな構造を積み上げることこそが未来なのか。
岩手は、その問いを体現している。

編集後記|NEOTERRAIN視点
地方は遅れているのか。
それとも、別の未来を選び直しているのか。
岩手という土地は、静かにその答えを提示している。

