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ゆずの先にあるもの―高知県・馬路村という選択#28【高知県篇】

高知県の山あいに広がる集落と川の風景。売るための村から、育てる村へというメッセージを重ねたビジュアル
高知県の山あいに広がる集落と川の風景。

人口900人。山と川に囲まれたこの小さな村は、
「ゆずの村」として全国に知られてきた。
しかし今、馬路村は“売るため”のゆずから、
“共に育てる”経済へと歩みを進めている。

香り高いゆず。
加工品、調味料、飲料。
その品質と物語は、都市の食卓にまで届いている。

けれど馬路村は、
「売れること」そのものをゴールにしない選択をした。

高知県の山々に囲まれた谷あいに広がる集落と川の俯瞰風景
Contents

ゆずに頼りきれない未来を、恐れなかった

高齢化。
単価の低下。
後継者不足。

これは馬路村だけの問題ではない。
日本中の多くの地域が、同じ問いを抱えている。

このまま、作り続けるだけでいいのか。
「売れるもの」を作るだけで、村は続くのか。

馬路村は、その問いから目を逸らさなかった。
依存してきた構造を、いちど立ち止まって見つめ直した。

高知県の山あいの斜面に広がる、実をつけたゆず畑の風景

森とともに生きる、という原点回帰

馬路村の背後には、広大な森が広がっている。

かつて林業で栄え、
そして衰退も経験してきた土地。

今、森は再び「資源」として見直されている。
ただし、それは切り出して売るための資源ではない。

  • 手入れされた森が生む、水と空気
  • ゆず畑を支える生態系
  • 人が滞在し、学び、関わる場としての森

森は、経済の“背景”ではなく、
経済の土台として再定義されている。

高知県の山村に広がる、手入れされた森林と静かな小径の風景

「消費」ではなく、「関係」を育てる観光へ

馬路村が描く観光は、
いわゆる「観光地化」とは少し違う。

大量に人を呼び込むのではなく、
関係が積み重なる人を迎える。

  • ゆずの収穫を一緒に行う
  • 加工や森の手入れを体験する
  • 何度も訪れ、顔見知りになる

ここでは、訪問者は「お客さん」で終わらない。
村の営みに、少しずつ参加する存在になる。

高知県の山村で、住民たちが協力しながら屋外作業を行う風景

「共に育てる」経済という選択

馬路村が目指しているのは、
単なる6次産業化でも、ブランディングでもない。

作る人と、使う人。
住む人と、訪れる人。
自然と、人の営み。

そのあいだに、
緩やかで、長く続く関係を編み直していく。

それは、
共創型の地域経済と呼べるものかもしれない。

高知県の山あいの集落で、路地を歩く人々と静かな暮らしの風景

次のかたちは、もう始まっている

「成功事例」として語るには、
この村の歩みは、あまりに静かだ。

派手なコピーも、急激な成長もない。

けれど、
続くかどうかという問いに対して、
馬路村は一つの答えを示している。

売るより、育てる。
消費より、関係。
依存より、選び直す勇気。

ゆずの香りの、その先で。
馬路村は、地域経済の「次のかたち」を、
今日も静かに育てている。

Sora’s Field Notes|現場から、未来の輪郭を記す

Youtubeチャンネル「NEOTERRAIN」と連動企画です。動画もチェック!
高知県篇

NEOTERRAINの案内人が現場で取材する様子

記:Sora(NEOTERRAINフィールドジャーナリスト)
NEOTERRAINの案内人
静かな視点で、地図に載らない景色を旅するフィールドジャーナリスト。
北の大地の牧場から、南の市場のざわめきまで。
人と社会の営みの中にそっと寄り添い、記憶と問いかけを言葉に残します。
この視点が、あなたの旅の地図になりますように。

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