郊外経済という、日本型モデルの正体
華やかなブランド都市ではない。 しかし埼玉県からは、安定的に利益を出し続ける企業が生まれている。
しまむら、山田うどん、ベルク。
いずれも全国的な知名度を持ちながら、 過度な広告や派手なブランド戦略に依存していない。
なぜ埼玉から、こうした“堅実企業”が生まれるのか。 そこには、日本型郊外経済の構造がある。
価格ではなく「生活密着」で勝つ企業
しまむらは、低価格アパレルの代表格だ。 だが同社の強みは単なる安さではない。
郊外立地、広い駐車場、日常使いの衣料。 「毎日の生活」に最適化した設計である。
山田うどんも同様だ。 ロードサイド型店舗で、労働者層を中心に支持を集める。 高級志向ではなく、合理性と実用性。
ベルクは地域密着型スーパーとして、 価格競争に巻き込まれながらも高収益体質を維持している。
共通点は明確だ。 “日常の経済”に特化していること。
埼玉という地理的優位
埼玉は東京に隣接する。 巨大消費地へのアクセスがありながら、 地価や人件費は比較的抑えられる。
さらに高速道路網と物流網が発達し、 首都圏の供給拠点としても機能している。
つまり埼玉は、 “コスト効率の良い経済拠点”である。
郊外資本主義というモデル
高度経済成長期以降、 日本の人口は郊外へ拡大した。
その中で形成されたのが、 「車移動」「大型駐車場」「生活必需型消費」という経済圏だ。
埼玉はその象徴的存在である。
ブランドよりも合理性。 見栄よりも実用。 トレンドよりも安定。
この価値観が、 企業の経営思想にも影響を与えている。
拡大より、回転率
埼玉企業の多くは、 爆発的な成長よりも、回転率と効率を重視する。
- 薄利多売ではなく、安定多売
- 広告投資より、立地最適化
- ブランド演出より、オペレーション効率
これは縮小市場において、 極めて合理的な戦略である。
縮小社会と郊外モデル
人口減少社会において、 都市集中モデルは限界を迎えつつある。
一方で、生活密着型の郊外経済は、 急成長こそしないが、崩れにくい。
埼玉企業の強さは、 拡大モデルではなく、 「安定モデル」を磨き続けた点にある。
結び
埼玉は派手ではない。
だが、合理的である。
見栄を張らず、 生活に寄り添い、 回転率を高め、 効率を磨く。
それは、日本型郊外資本主義の完成形かもしれない。
縮小社会において、 堅実であることは、むしろ強さである。
縮小社会の構造については、こちらの記事も参照。
「縮小社会は失敗なのか。」

