NEOTERRAIN|意思決定構造を考える Vol.1
空き家DXに見る、トップダウンと現場の交差点
DXが進めば、社会は効率化され、課題は解決に向かう。
そう信じられてきた。
しかし現実には、制度やシステムが整っても、
現場が動かないケースは少なくない。
その理由は、技術の不足ではない。
トップダウンとボトムアップの「接続設計」が欠けているからだ。
その具体例として、官民DXと現場実践が交差し始めているのが、 空き家プラットフォームの取り組み である。
本記事は、NEOTERRAIN Journalのシリーズ 「意思決定構造を考える」のVol.1として、
官民DXと現場実践が交差する空き家プラットフォームを取り上げる。
トップダウンは、本当に悪なのか
トップダウンとは、権力的で現場を無視した意思決定を指す言葉として語られがちだ。
だが本来、トップダウンが担う役割は明確だ。
- ルールを整える
- 責任の所在を明確にする
- 挑戦のための「安全地帯」をつくる
DXによる制度設計や官民連携は、
このトップダウンの機能を強化する手段でもある。
問題は、それだけで現場が動くと誤解されてきたことにある。
ボトムアップは、なぜ続かないのか
一方で、現場から生まれるボトムアップの取り組みは、
熱量と創造性に満ちている。
だが、個人や小さなチームの挑戦は、
制度や仕組みと接続されなければ、継続しにくい。
- ルールが分からない
- 失敗したときの責任が重すぎる
- スケールできない
ボトムアップが失速する理由は、
意志の弱さではなく、支える構造がないことにある。
DX時代に必要なのは「間(あいだ)」の設計
DXによってトップダウンは強化された。
現場には、ボトムアップの実践者も増えている。
それでも噛み合わないのは、
両者のあいだをつなぐ設計が存在しないからだ。
空き家、地域、教育、環境。
こうした分野は、正解が一つではなく、
試行錯誤が前提となる。
だからこそ必要なのは、
・制度が挑戦を守り
・現場の実践が制度を更新する
という循環構造だ。
空き家は、DXと現場をつなぐ実験場になり得る
空き家問題は、不動産の問題ではない。
制度、地域、個人の関係性が試される、
社会構造の縮図だ。
官民DXによって手続きや情報が整い、
現場では小さな実践者が意味を与える。
この接続が起きたとき、
空き家は「問題」から社会実験のフィールドへと変わる。
NEOTERRAINの視点
トップダウンとボトムアップは、対立概念ではない。
問題は、そのあいだが設計されていないことだ。
DX時代に問われているのは、
効率ではなく、構造の編集である。
NEOTERRAINは、
この「間」に光を当て続けたい。

