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空き家は、DXだけでは再生しない─トップダウンと現場が出会うとき

夕暮れの中に佇む日本の空き家。灯りのともる室内とともに「空き家は、仕組みだけでは動かない」というテキストが重ねられている。
Contents

NEOTERRAIN|意思決定構造を考える Vol.0
トップダウンとボトムアップの、あいだを考える

日本各地で増え続ける空き家問題。
老朽化、相続、管理負担、そして「どうすればいいか分からない」という沈黙。

これまで空き家は、個人の問題であり、地域の悩みでありながら、
社会インフラとして扱われることはほとんどなかった。

しかし今、その前提が静かに揺らぎ始めている。

本記事は、NEOTERRAIN Journalのシリーズ 「意思決定構造を考える」のVol.0として、
トップダウンとボトムアップの関係性を整理する。


官民DXプラットフォームが示した転換点

2026年1月に発表されたPR TIMESのリリースでは、
官民が連携し、空き家に関する手続きを一元化するプラットフォーム構想が示された。

空き家の利活用を進める上で課題となっていた、
煩雑な手続きや情報の分断を、デジタル技術によって解消し、
官民連携で円滑な活用を目指す。出典:PR TIMES「官民連携による空き家プラットフォーム構築に関する発表」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000273.000067172.html

この一文が示しているのは、
空き家を「個別対応」ではなく、社会システムとして扱おうとする意思だ。

登記、契約、条件整理、関係者調整。
これまで空き家活用を阻んできた「よく分からない」「怖い」「面倒」という感情は、
制度と情報の複雑さが生み出していた。

DXは、それらを一つずつ説明するのではなく、
そもそも感じさせない状態をつくる


それでも、空き家は自動的には動かない

しかし、ここで一つの問いが残る。

仕組みが整っただけで、空き家は本当に再生するのか。

答えは、おそらくNOだ。

なぜなら、空き家が「使われる場所」になるためには、

  • 誰が関わるのか
  • 何のために使うのか
  • どんな時間が流れるのか

という物語と熱量が必要だからだ。

それは、制度やプラットフォームから自動生成されるものではない。


ボトムアップの現場─空き家レンジャーという存在

ここで浮かび上がるのが、現場から動く実践者たちの存在だ。

いわゆる「空き家レンジャー」と呼ばれる人々は、
行政でも、不動産業者でもない。

彼らは、

  • 地域に入り
  • 所有者の想いを聞き
  • 小さな使い方を試し
  • 失敗も含めて記録する

空き家を、いきなり「事業」にしない。
まずは実験として開く

このボトムアップの積み重ねが、
空き家を「問題」から「資源」へと変えてきた。

現場から動く空き家レンジャーの取り組み
https://neoterrainjournal.com/akiya-ranger-zushi/


トップダウン×ボトムアップが生む科学反応

官民DXによるトップダウンと、
空き家レンジャーのボトムアップは、対立する概念ではない。

トップダウンは「挑戦できる安全地帯」をつくり、
ボトムアップは「意味ある使い方」を流し込む。

制度があるからこそ、現場は安心して試せる。
現場の試行錯誤があるからこそ、制度は現実に近づいていく。

この循環が生まれたとき、
空き家は単なる不動産ではなく、社会実験のフィールドになる。

しかし、こうした課題は空き家に限った話ではない。 DX時代においては、制度やシステムが整っても、 現場が動かないケースが各所で見られる。

この背景にある、 DX時代のトップダウンとボトムアップの関係性については、 こちらの記事で構造的に整理している。


DXによるトップダウンは、なぜ現場を動かさないのか

これまでの地域活性化は、
予算、成果、成功事例が先にあった。

しかし今、必要なのは違う。

試せる余白があり、
失敗が許され、
学びが循環すること。

DXは、そのための土台をつくる。
現場は、その土台に意味を与える。

空き家問題は、
地域が再び動き出すための問いへと変わりつつある。


NEOTERRAINの視点

DXは、地域を救わない。
だが、DXがあるからこそ、人は挑戦できる。

空き家が再生するとき、
そこに必要なのは「正解」ではない。

試せる余白と、意味を編む人の存在だ。

NEOTERRAINは、
この交差点に立ち続けたいと思う。

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