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制度が止まる前提で、生きるということ。|島根県・隠岐諸島がつくる“関係インフラ”の社会-#33【島根県篇】

隠岐諸島の海岸と集落、屋根に設置された太陽光パネルと荒れる日本海の空
隠岐諸島の海岸と集落、屋根に設置された太陽光パネルと荒れる日本海の空

制度が止まる前提で、生きるということ。

Contents

島根県・隠岐諸島がつくる“関係インフラ”の社会

本土から離れた、隠岐諸島。

台風で物流が止まる。
医療は届かないかもしれない。
フェリーが欠航する。

それでも、この島は生きている。

ここでは「制度が完璧に機能する」という前提で社会は設計されていない。
むしろ―止まることを前提に、暮らしは組み立てられている。


島根県・隠岐諸島の港に停泊する漁船と荒天前の日本海

■ エネルギーは“自分たちで持つ”

小さなマイクログリッド。
地域内で発電し、地域内で使う。

再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせた分散型電力。
大規模インフラが寸断されても、最低限の機能は保てる。

都市は巨大化することで強くなる。
しかし島は、分散することで強くなる。

強さの定義が、ここでは違う。

島根県・隠岐諸島の海沿い集落で屋根に太陽光パネルを設置した木造住宅

■ 水を“ためる”という思想

各家庭や施設に設置された水タンク。
それは単なる設備ではない。

都市は「いつでも供給される」ことを前提にする。
島は「供給が止まる」ことを前提にする。

違いは技術ではなく、前提条件の思想だ。

島根県・隠岐諸島の海沿い住宅に設置された雨水タンク

■ 見守りは、制度ではなく“関係”

買い物支援。
高齢者の見守り。
日常の声かけ。

それらは福祉制度だけでは回らない。

「ついで」に届ける。
「顔を知っている」から気づく。
「最近見ないね」と声をかける。

制度ではなく、関係が機能している。
ここでは、関係そのものがインフラだ。

隠岐諸島の集落で高齢女性に食料を届ける近隣住民|地域見守りの風景

■ 制度に“頼れない”という強さ

都市は制度が整っている。
だが、制度が止まった瞬間に脆くなる可能性もある。

隠岐は違う。

制度に“頼れない”からこそ、
人と人のあいだに余白がある。

その余白が、仕組みになる。

これはノスタルジーではない。
むしろ、極めて合理的な社会設計だ。

隠岐諸島の海岸線と日本海の荒天前の空|島根県の離島風景

■ NEOTERRAIN視点:止まる前提で設計する社会

気候変動、パンデミック、物流不安、エネルギー危機。
世界は“止まる可能性”と向き合っている。

「止まらない仕組み」をつくるのではなく、
「止まっても続く仕組み」を持つこと。

小さなマイクログリッド。
ためる水。
関係による見守り。

それらは地方の特殊事例ではない。
未来都市のプロトタイプかもしれない。


■ 問い

社会は、すべて整ってから始まるのだろうか。

それとも、
足りないからこそ、
関係が生まれ、仕組みになるのだろうか。

制度が止まる前提で生きるまち・隠岐。
そこには、未来の社会設計のヒントが静かに眠っている。

Youtubeチャンネル「NEOTERRAIN」と連動企画です。動画もチェック!
島根県篇

NEOTERRAINの案内人が現場で取材する様子

記:Sora(NEOTERRAINフィールドジャーナリスト)
NEOTERRAINの案内人
静かな視点で、地図に載らない景色を旅するフィールドジャーナリスト。
北の大地の牧場から、南の市場のざわめきまで。
人と社会の営みの中にそっと寄り添い、記憶と問いかけを言葉に残します。
この視点が、あなたの旅の地図になりますように。

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