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青和信用組合に「静かに話すAI」─オンプレミスがひらく、信頼の新しいかたち
銀行の地下金庫は、もう紙だけを守らない。見えない“知”が、施設の内側だけを静かに循環する─東京都のコミュニティバンク、青和信用組合に導入されたオンプレミス型の生成AIは、「外へ出ない賢さ」を設計する試みだ。鍵は速度ではなく、境界。どこまでが内で、何が外なのか。信頼をつくる線を、AIはどう描けるのか。

賢さはどこに置くべきか
あらゆる知識が雲の向こうから届く時代に、地域金融が守りたいのは「最速」よりも「続く信頼」だ。規程やマニュアルに根ざした答えが、敷地の内側で返ってくること─その事実が、窓口の安心や稟議の納得、監査の透明性を支える。私たちはいま、知の所在地という古くて新しい設計課題の前に立っている。
オンプレLLMがもたらす現場の手触り
- “外に出ない会話”:職員は自然文で問いかけ、組合内の規程・手順書に基づく回答が戻る。答えは早さだけでなく、根拠の近さで信用を帯びる。
- 速度より境界:セキュリティ要件そのものがKPI。通信やログの経路を内側で完結させる設計が、組織の安心を下支えする。
- マルチLLMの現実解:gpt-oss-120bやQwen3系など、用途に応じてモデルを切り替えられる柔軟さ。必要十分な賢さを、環境制約の中で確保する。
- “全員で使う”という前提:およそ120名規模の運用を想定。PoCで終わらない、日常業務に接続された実装へ。
「オンプレミス環境で稼働する生成AIアシスタントシステムを導入。職員が自然な会話形式で質問できるチャット型アシスタントとして運用し、約120名の全組合員が利用」— PR TIMES『株式会社Ippu Senkin、青和信用組合にオンプレミス型生成AIアシスタントを導入』(2025年10月17日掲載) 出典リンク
現場から、続く仕組みへ
- 信用のUX:対面応対や稟議、監査のグレーを、規程ベースの対話で素早く言語化。人の判断を奪わず、判断の根拠を呼び出す。
- ナレッジの地産地消:クラウドから“持ってくる賢さ”に加え、地域金融の文脈で育った知を内側で醸す。更新される規程が、すぐに会話の中で息をする。
- 可監査なAI:モデル選択・通信経路・ログ仕様をオンプレ側で統制。説明責任に耐えるアーキテクチャが、導入後の運用を軽くする。
- 学びの痕跡:新人教育、問い合わせ一次応対、会議準備─同じアシスタントが横断することで、学びの履歴が組織に蓄積していく。
データポイント
- 導入先:青和信用組合(東京都)
- 提供:株式会社Ippu Senkin(ハード〜ソフト一気通貫)
- 方式:完全オンプレミス/複数LLM対応(例:gpt-oss-120b、Qwen3系)
- 規模:約120名が利用する前提の運用設計
出典
PR TIMES『株式会社Ippu Senkin、青和信用組合にオンプレミス型生成AIアシスタントを導入』(2025年10月17日 06:50掲載) プレスリリース原文

