しかし今、買い物は「ライブ配信」の中で行われている。
TikTokで、配信者が商品を語り、視聴者がコメントで質問し、
その場の空気が盛り上がる中で、商品は次々と売れていく。
これは本当に、ただの流行なのだろうか。
ライブショッピングは「新しい通販番組」ではない
ライブショッピングは、よくテレビ通販の進化版として語られる。
だが、この捉え方は本質を外している。
テレビ通販は、基本的に一方向のメディアだった。
- 台本があり
- 編集され
- 信頼は企業やタレントの肩書きに依存する
一方、ライブショッピングはまったく違う。
- 双方向で
- 即興で
- 信頼は「その人の振る舞い」から生まれる
売られているのは、商品だけではない。
言葉、態度、リアクション、その場の空気そのものだ。
なぜ「ライブ」は人を動かすのか
ライブショッピングが人を動かす理由は、主に3つある。
1. 偶発性
今、この瞬間に起きている。
アーカイブではない「現在進行形」が、人の注意を引きつける。
2. 参加感
コメントを書けば反応が返ってくる。
視聴者は「見る側」ではなく、「場をつくる一員」になる。
3. 可視化された信頼
他人のコメント、購入報告、リアクションが可視化されることで、
「自分だけが判断しているわけではない」という安心が生まれる。
これは広告でも、従来のECでもない。
ひとつの“場”として設計された購買体験だ。
TikTokが作ったのは「売り場」ではない
TikTokは、単にEC機能を実装したわけではない。
彼らが作ったのは、
欲望が立ち上がる瞬間そのものを可視化する装置だった。
ライブ配信では、商品スペックよりも、
「なぜ今これを使っているのか」
「なぜこの人はこれを薦めるのか」が語られる。
欲しくなる理由は、論理ではない。
その場に居合わせたという体験だ。
買い物が「行為」から「関係性」に変わる
ライブショッピングが示しているのは、
消費行動の変化だけではない。
買い物は、
「モノを得る行為」から、
誰と、どんな関係で選ぶかへと変わりつつある。
フォロワー数よりも、
日々の言葉や姿勢の積み重ね。
売ることよりも、語り続けること。
そこに、信頼が生まれる。
NEOTERRAIN的な問い
買い物が、番組になる時代。
企業は、ただ「売る側」であり続けられるのだろうか。
それとも、語り手となり、場をつくる存在へと変わる必要があるのか。
次回は、
「TikTokだけではない」ライブコマースの全体像を、
プラットフォームごとの思想の違いから読み解いていく。
次回予告:
Vol.2「TikTokだけじゃない。ライブコマースはどこまで広がっているか」

