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なぜホーチミンの交通は崩壊しないのか

ホーチミンの道路を埋め尽くすバイク交通。都市は機械ではなく人間のアルゴリズムで動いていることを象徴する風景。
ホーチミンの道路を埋め尽くすバイク交通(人間アルゴリズムによる都市交通)
Contents

850万台のバイク都市がつくる「人間アルゴリズム」

ベトナム最大の都市、ホーチミン。

朝になると、この街は巨大な流れに変わる。

その流れをつくっているのは、人ではない。

バイクだ。

ホーチミンでは、850万台以上のバイクが毎日街を走っている。 信号はある。しかし、それがすべてをコントロールしているわけではない。

それでも交通は崩壊しない。 むしろ、驚くほど滑らかな秩序の中で流れている。

なぜ、この都市の交通は成立しているのだろうか。

ホーチミン市の交差点を埋め尽くす大量のバイク交通(上空から見たバイク都市)

バイク都市の誕生

ベトナムでは、バイクは単なる乗り物ではない。

通勤。 買い物。 フードデリバリー。 子どもの送迎。

生活のほとんどがバイクの上で動いている。

この文化の背景には、1986年の「ドイモイ改革」がある。

市場経済の導入によって、日本、台湾、韓国のバイクが急速に普及した。

都市インフラが整うよりも早く、 移動手段だけが爆発的に広がった。

それが、現在のホーチミンの交通文化の土台となった。

ホーチミン市の道路を埋め尽くす大量のバイク交通(バイク都市ホーチミン)

視線で動く交通

ホーチミンの交差点を見ると、奇妙なことに気づく。

車は止まらない。 人も待たない。

それでも事故は起きない。

この交通を動かしているのは、信号ではない。

視線、スピード、距離感、そして予測。

人々は互いの動きを読みながら、 リアルタイムで判断している。

それはまるで、魚の群れや鳥の隊列のようだ。

中央の指令塔はない。

このような仕組みを、科学では 分散型システム(Decentralized System) と呼ぶ。

ホーチミン市の交差点を走るバイクのライダー。アイコンタクトで成立する都市交通の様子。

マイクロ物流都市

ホーチミンの都市構造は、車ではなくバイクを前提としている。

道路は狭く、駐車場も少ない。

しかしバイクなら、ほとんどどこにでも停めることができる。

この仕組みは物流にも影響している。

フードデリバリー。 ライドシェア。 Eコマース配送。

GrabやShopeeの物流も、多くがバイクに依存している。

つまりホーチミンは、 マイクロ物流都市 として機能している。

ホーチミン市の狭い路地に並ぶバイクと市場の風景。バイク都市ホーチミンの日常交通。

人間のアルゴリズム

多くの人は、未来の都市をAIや自動運転が管理すると考えている。

しかしホーチミンの交通は、 別の可能性を示している。

それは 人間のアルゴリズム だ。

ライダーは瞬時に判断する。

  • スピード
  • 距離
  • 方向
  • 次の動きの予測

それをすべてリアルタイムで行っている。

この都市は、 生きたネットワーク のように動いている。

都市の交通ネットワークを抽象的に可視化したビジュアル。人の移動と都市の流れを表現した“人間アルゴリズム”のイメージ。

都市は機械ではない

未来都市と聞くと、 多くの人はシリコンバレーやシンガポールを思い浮かべる。

しかし未来は、必ずしもテクノロジーから生まれるとは限らない。

ときに未来は、 人間のふるまい から生まれる。

ホーチミンの交通は、それを教えてくれる。

都市はインフラだけで動くわけではない。

人間の直感。 人間同士の信頼。 そして環境への適応。

それらが重なり合って、都市は動いている。

都市は機械ではない。

人間のアルゴリズムで動いている。

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