DXが進めば、社会はもっとスムーズに動く。
制度が整えば、現場も自然と変わる。
そう信じられてきた。
しかし現実には、DXが導入されても、
「あと一歩」で止まってしまうケースが後を絶たない。
制度はある。
現場にも意欲はある。
それでも、動かない。
本記事では、その原因を「失敗」や「抵抗」ではなく、
設計されていない“間(あいだ)”という視点から考えていく。
DXは、なぜ「あと一歩」で止まるのか
トップダウンによる制度設計と、
ボトムアップによる現場の実践。
どちらも間違ってはいない。
にもかかわらず、多くのDX施策は、
「導入されたが使われない」状態に陥る。
原因は技術不足ではない。
意欲の欠如でもない。
両者をつなぐ“構造”が、最初から用意されていないのだ。
なぜ制度と現場は、直接つながろうとするのか
DXの現場では、しばしばこうした期待が生まれる。
「制度を整えたのだから、現場は動くだろう」
「現場の声を集めたのだから、制度に反映されるはずだ」
だが、制度の言語と、現場の言語は異なる。
制度は、ルールや数値で語られる。
現場は、経験や感覚、文脈で動く。
この二つを、直接つなごうとすること自体が、
すでに無理のある設計なのかもしれない。
DXに欠けているのは、技術ではなく「翻訳層」だ
DXが見落としがちな存在がある。
それは、トップダウンでも、ボトムアップでもない、
第三のレイヤーだ。
このレイヤーの役割は、人を管理することではない。
技術を導入することでもない。
制度を、現場の言葉に翻訳し、
現場の実践を、制度側に返す。
DXを動かすのは、システムではなく、
この翻訳と編集のプロセスなのだ。
トップダウンでも、ボトムアップでもない役割
「間(あいだ)」に必要なのは、人ではなく機能である。
制度を、現場の言葉に翻訳する
複雑な制度や仕組みを、
「結局、何ができるのか」という形に変換する。
すべてを実装しない勇気
制度をそのまま現場に下ろさない。
必要な部分だけを切り出し、編集する。
いきなり成功を求めない
DXは、本来、実験に向いている。
期間限定、小規模、失敗前提。
現場から制度へ、声を戻す
成功も、失敗も、制度側に返す。
ここで初めて、循環が生まれる。
空き家は、社会実験に向いている
空き家や地域は、DXの実験場として優れている。
完璧を求められない。
スケール前提ではない。
失敗しても、致命傷になりにくい。
だからこそ、「間」を設計し、試す余地がある。
制度と現場のあいだに立ち、
翻訳し、編集し、実験する。
空き家は、不動産ではなく、
意思決定構造を試すためのフィールドになり得る。
DX時代に問われるのは「誰が間を担うのか」
この役割を、誰が担うのか。
個人か。
組織か。
それとも、新しい職能か。
重要なのは、ヒーローを探すことではない。
役割として設計することだ。
この問いは、次回以降、さらに掘り下げていきたい。
NEOTERRAINは、「間」を可視化する
NEOTERRAINは、正解を示さない。
成功事例を量産することもしない。
制度と現場のあいだにある構造を編集し、
問いとして残す。
DX時代に必要なのは、
答えではなく、考え続けるための構造なのだから。
本記事は、NEOTERRAIN Journalのシリーズ 「意思決定構造を考える」のVol.2です。
- Vol.0: 現場で生まれた違和感
- Vol.1: トップダウンとボトムアップの構造整理

