境界線の、その先へ。
朝の光が差し込む駅のホーム。流れる人波の向こうに、誰にも気づかれず咲く一輪の野花。そこに、もうひとつの「東京」があります。
大都市の影─それが多摩地域と呼ばれる場所。行政区分では「東京都」。けれど、鉄とガラスの摩天楼とは違うリズムが、ここには流れています。都市と地方。その中間に広がる“あわい”の土地で、ある問いが芽を出し始めています。



「地域と若者の関係は、どうすれば持続可能になるのか?」
かつては通過されてきた町に、若者たちが“とどまり”、そして“つなぐ”動きが始まっています。それを後押ししているのが、大学・行政・地域事業者の連携による、「地域起業」という仕組みです。
例えば、廃校となった小学校を再活用し、地域の記憶と未来を紡ぐカフェに。・奥多摩の自然を舞台にした“都市住民向けツアー”を、学生が企画・ガイドに挑戦。・地元の林業資源を使ったクラフト商品を開発し、地域経済に新たな循環を。
これらはすべて、「地域資源」を単なる消費対象としてではなく、“共創”と“関係人口”の種として捉え直す視点から生まれています。
かつて、東京の“外縁”だったこの場所は、今、都市と地方の“接続点”として、新たな意味を獲得しつつあります。

多摩地域の「大学集積」
実は多摩地域には、立川・八王子・町田などを中心に、30以上の大学キャンパスが点在しています。
このエリアは、学生数だけで見れば地方都市に匹敵する「学都」でもあるのです。
その教育資源を「まちづくり」に転用する試みが、今後の都市再編の鍵を握るかもしれません。
若者たちは、「東京の真ん中」ではなく、“あえて”この周縁に立つことで、新しい選択肢を生み出そうとしています。それは働き方の再発明であり、生き方の再定義でもあります。

NEOTERRAINは、この“都市の中のもうひとつの地方”に耳を澄ませ、あなたの「問い」を、そっと引き出す旅を続けていきます。
Youtubeチャンネル「NEOTERRAIN」と連動企画です。動画もチェック!
東京篇

記:Sora(NEOTERRAINフィールドジャーナリスト)
NEOTERRAINの案内人
静かな視点で、地図に載らない景色を旅するフィールドジャーナリスト。北の大地の牧場から、南の市場のざわめきまで。
人と社会の営みの中にそっと寄り添い、記憶と問いかけを言葉に残します。
この視点が、あなたの旅の地図になりますように。

