AI×専門家の二段分析で見えた現在地。時価総額1兆円超プライム企業の「金額での影響開示」は約2割、当期GHG実績の開示は約3割にとどまる。
カテゴリ:Business Field / 更新日:2025-10-25
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何をどの程度まで、どの順序で開示するのが“投資家に効く”のか?
企業のサステナビリティ開示は急速に増えました。しかし投資家が判断に使えるのは、ストーリーだけでなく、財務影響の定量や、リスク・機会から目標・実績までの一貫性です。日本市場の「今」を示すデータが公表されました。
数字で読む“いま”
・「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載量は、2023→2025年で約1.5倍に増加。
・時価総額1兆円以上のプライム企業で、気候関連の予想財務影響を金額で開示:約2割。
・同層で定量情報(金額or影響度分類)を何らかの形で開示:約4割。
・当期のGHG排出量実績を開示:約3割。複数期での開示はまだ少数。
・SSBJ基準の適用義務化は、3兆円以上:2027年3月期、1兆〜3兆円:2028年3月期を想定。出典:デジタルPR(プラップジャパン)掲載プレスリリース/デロイト トーマツ グループ(原文)
IR・サステナビリティ・経営の実務ポイント
- 「一貫性の設計」:リスク・機会→戦略→指標/KPI→目標→実績の鎖を切らさない。本文・図版・注記を横断で整合。
- 「定量の骨格」:影響額またはレンジ、前提(炭素価格等)、感応度、期間をセットで。投資家がモデルに入れられる形に。
- 「当期+複数期」:GHGはScope別の実績と見通しを継続系列で。遡及・推計の方針も明記。
- 「役員報酬と連動」:サステ指標を報酬に結び、モニタリング体制=開示の質向上へ。
- 「SSBJ対応の前倒し」:義務化ターゲット企業は2026年度中にドラフト版の開示設計・社内レビューを一巡させる。
NEOTERRAINの視点
「量」は十分に増えた。次は、投資家が比較・評価できる「構造」と「数値」。開示は企業の物語を“証明”に変える装置だ─それを動かすのは、現場で集めたデータと、経営が選ぶKPIの設計である。

上場企業のサステナビリティ開示を表す年次報告書とデータ可視化グラフのイメージ【リリース元の明記】本記事は、デジタルPR(プラップジャパン)に掲載されたデロイト トーマツ グループのプレスリリース内容を基に再構成しています。原文・詳細はこちら。デロイトのレポート本文はこちら。

