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なぜ13ヶ月目は、たった5日なのか─エチオピア暦に残された「時間の余白」

13ヶ月で構成された暦を円環状に表現した象徴的なビジュアル
3ヶ月で構成された暦を円環状に表現した象徴的なビジュアル

エチオピア暦には、13ヶ月目が存在する。
そして、その月はたった5日(閏年は6日)しかない。

この不思議な構造は、単なる暦の違いではない。
そこには、時間をどう捉え、どう生きるかという思想が刻まれている。

時間を文化的構造として抽象的に可視化した円形ビジュアル

Contents

13ヶ月目は「余った日」ではない

エチオピア暦では、1ヶ月は基本的に30日。
12ヶ月で360日となる。

しかし、地球が太陽を一周するのは約365日。
このズレを調整するために生まれたのが、13ヶ月目だ。

だが重要なのは、
この5日間がどの月にも属さない「特別な時間」として扱われている点にある。

それは、時間を帳尻合わせするための付録ではない。
一年の外側に置かれた、意図的な余白なのだ。

エチオピア暦を象徴する13分割の円環図。12ヶ月と短い13ヶ月目を表した図像

名前を持つ、13ヶ月目

この13ヶ月目は、「パグメン(Pagume)」と呼ばれる。
語源には「忘れられた日々」「残された時間」という意味が込められている。

つまりエチオピアでは、
余った時間を「消す」のではなく、
あえて名前を与え、意識化してきた

ここに、時間を管理対象としてではなく、
文化として扱う姿勢が見えてくる。

夜明け前のエチオピアの街路。霧に包まれた石畳の道を人々が静かに行き交う様子

5日間がもたらす、暮らしのリズム

パグメンの期間、人々の暮らしは少し変わる。

大きな祝祭が開かれることもあれば、
家族と静かに過ごす時間が重視されることもある。

この5日間は、
「生産する時間」から、一歩距離を置くための期間でもある。

忙しさから立ち止まり、
一年を振り返り、祈り、語り合う。

時間は前に進むものではなく、
循環し、整えるものとして扱われている。

ろうそくの灯りに照らされたエチオピア正教会の内部。聖書と祈りの空間が静かに広がる

効率からこぼれ落ちる時間

現代社会では、
時間は効率化され、分単位で管理される。

だが、エチオピア暦は問いかける。
すべての時間は、生産的である必要があるのか?

13ヶ月目の5日は、
経済合理性からは説明しづらい。

しかし、この「非効率な時間」こそが、
人と社会のリズムを保ってきたとも言える。

水平線が広がる静かな風景。空と水面が溶け合い、時間の余白を象徴するミニマルな景色

時間に余白がある社会

パグメンは、社会にとってのバッファでもある。

暦の中に、あらかじめ余白を組み込むことで、
ズレや歪みを吸収する。

それは、制度や経済にも通じる考え方だ。
余白のないシステムは、壊れやすい。

エチオピア暦は、
時間の設計そのものに「しなやかさ」を残している

円と直線が重なり合う抽象的な構図で、異なる二つの時間構造を象徴的に表現したビジュアル

5日間が教えてくれること

13ヶ月目が5日である理由。
それは天文学的な調整であると同時に、
文化的な選択でもある。

世界は、同じスピードで動かなくていい。
すべての時間を、同じ価値基準で測らなくていい。

エチオピアの5日間は、静かに語る。
時間に、余白を残す勇気を持てと。


NEOTERRAINからの問い

もし、私たちの社会にも、
「13ヶ月目」があったなら。

その時間を、何に使うだろうか。

エチオピア暦は、異文化ではなく、
未来へのヒントかもしれない。

NEOTERRAINは、
世界の暦から、これからの生き方を読み解いていく。

世界には、私たちが当たり前だと思っている「時間」とは異なる構造が存在する。
エチオピア暦13ヶ月は、暦という制度を通して、文化・信仰・暮らしの奥行きを映し出す。
NEOTERRAINは、時間という見えない制度を手がかりに、世界の別の姿を読み解いていく。
Vol.1時間は、世界共通ではない
Vol.2なぜ、エチオピアの暦は「13ヶ月」なのか?

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