世界に13ヶ月で動く暦を持つ国がある。
それが、アフリカ・エチオピアだ。
私たちは「1年=12ヶ月」を疑うことなく生きている。
カレンダー、給与、学校制度、祝日、会計年度─
すべてはこの前提の上に成り立っている。
だが、エチオピアでは違う。
1年は13ヶ月。
1ヶ月は30日が12ヶ月続き、
最後に5日(うるう年は6日)だけの「13番目の月」が存在する。
なぜ、そんな暦が生まれたのか。
なぜ、今もそれを使い続けているのか。

暦は「時間」ではなく、「思想」だった
暦は、単なる日付管理の道具ではない。
それは世界の捉え方そのものだ。
エチオピア暦は、古代エジプト暦やコプト暦をルーツに持ち、
宗教・天文学・季節感覚が複雑に絡み合って形づくられてきた。
西洋世界がローマ暦を改良し、
グレゴリオ暦として「世界標準」を確立した一方で、
エチオピアは自らの時間感覚を手放さなかった。
そこには、
「正確さ」よりも
「均等さ」
「循環」
「自然との関係性」
を重視する思想が見えてくる。

世界標準に合わせない、という選択
グローバル化が進み、
金融・航空・ITの世界ではグレゴリオ暦が使われている。
それでも、
日常生活、宗教行事、文化的リズムは
エチオピア暦が基準だ。
時間を「合わせる」ことより、
時間を「守る」ことを選んだ国。
13ヶ月目の短い月は、
「余白」のようにも見える。
働きすぎないための時間。
祈り、祝うための時間。
一年を振り返るための時間。
効率化では測れない価値が、
そこにはある。

私たちは、本当に「正しい時間」を生きているのか
12ヶ月は世界標準。
だが、それは唯一の正解ではない。
エチオピアの13ヶ月は、
私たちに問いを投げかけてくる。
- 時間は誰のものなのか
- 効率と豊かさは同じ方向を向いているのか
- 世界標準とは、誰の視点で作られているのか
カレンダーひとつで、
世界の見え方はここまで変わる。

次回予告
次回は、
「なぜ13ヶ月目は、たった5日なのか?」
そして
「その5日が、人々の暮らしに何をもたらしているのか」
をさらに深く掘り下げる。
時間の構造から、
文化と経済の奥行きを読み解く。
NEOTERRAINは、
“当たり前”の裏側にある世界を、
これからも歩いていく。

